きとのおもちゃばこ。

名刺の肩書が『データアナリスト』になったけど、実態が無いので途方に暮れてます。

【統計検定】『統計検定2級 対策』で検索した方に読んでほしい記事

最近、マーケティングリサーチ界隈の片隅にある弊部署にて、
「統計検定を取得しよう」という機運が高まっている。
なかでも、多くのメンバーが「統計検定2級合格」をゴールに据えて勉強している*1
 
弊社メンバー以外でも、一般に「統計検定2級合格」を目指す人は多いと思うが、
 ・「統計検定2級」に対して、過度な期待を寄せている
 ・「統計検定2級合格」の先に何があるかを、よく分かってない
 ・ネット上の「統計検定2級対策」が、実感と合わない(参考書の難易度が高い)
といった点に引っかかりを覚えている。

ならば、職場の同僚やその他多くの「統計検定2級合格」を目指す方向けに、
自分なりの『統計検定2級 対策』を記そうと思った次第*2

目次

本記事のターゲット

ターゲット:統計検定2級の取得をゴールに据えている人

何かしらの理由で「統計検定2級」に合格したい/しなければならない方がメインターゲット。
やる気さえあれば、前提知識の有無は一切問わない。
それなりに最短ルートを目指したつもりだが、流石に「楽して合格」までは保証できない。

 例:統計検定2級を取得したいが、数学も苦手だし、何をすればいいか分からない人。
   単位取得や人事評価のために、統計検定2級を取得したい人。
   「AI」「データサイエンティスト」への憧れから、統計検定2級を目指したい人。

ターゲットでない人:統計検定2級は通過点に過ぎない人

「統計検定2級のため」でなく、もっと広い視野で勉強を始めたほうが良い。
「統計検定」で検索するのを止めて、「統計学」とかで検索し直した方が幸せになれる。
数ヶ月後、統計検定2級に相当するレベルの知識・スキルは勝手に身についているはず。

 例:2級合格の次は、準1級の受験も視野に入れている人
   統計検定2級の知識をビジネスに活かしたい人
   「AI」「データサイエンティスト」への憧れから、統計検定2級を目指したい人。 

統計検定2級があると、何ができるか?

大学の「基礎統計学」的な授業の単位になることがある

統計検定2級の内容は、大学の「基礎統計学」的な授業とほぼ被っている。
大学によっては、講義の単位取得条件に代えてるところもあるらしい。
社会人にとっても、統計検定2級は「大学で1コマ受講したレベル」に相当する。

統計学を勉強した人」を自称できる自尊心が生まれる

世の中の「統計」「AI」ブームに乗った気になれる。
「ビジネスマンのためのデータ分析」的な本は、前半3分の2程度の内容が既習になる。*3

職場によっては、人事評価や給与がプラスになる

弊社は対象外。 

統計検定2級があっても、何ができないか?

そもそも、この世に統計検定2級が必須な仕事は存在してない
医師免許や弁護士資格とが違い、統計検定2級が無いと就けない会社/職種は存在しない。
統計検定2級を持ってることではなく、相当するスキルを持っていることが重要。
統計検定2級は、一定程度のスキルを持ってることの客観的な証明にすぎない。
データ分析の実務には直接繋がらない
統計学」と「データ分析の実務」のあいだには(実に下らない)壁*4がある。
実際のデータを前にした大学生が「統計検定2級」だけを拠り所にしても、大抵何も出来ない。
が、「データ分析の実務」の人が、自分の経験とスキルを客観的に整理する意味はある。
”データサイエンティスト”なる人がやってる内容の半分も理解できない
最もセクシーな職業である”データサイエンティスト”の皆様の日々の業務内容は、
統計検定2級で学ぶ内容とは乖離が大きい。理解出来ても半分がいいところ。
とはいえ、統計検定2級レベルを一度通らねば、理解できる日は一生来ない*5

統計検定2級のための勉強の注意点

「腑に落ちる」理解を心がけること
初学者向けに書かれた解説の多くで「分かったつもり」になっても、
後から自分のことばで説明しようとしても上手く出来ない、という自体は頻繁に起こる。
「合格する」ためには、地に足の着いた「分かった」を増やした方が近道。
「手を動かす」時間を意識的に取ること
「合格する」ためには、「読む」だけでなく「手を動かす」ことも必要。
解答の丸写しでもOKなので、とにかく「手を動かす」ことから逃げないこと。
加減乗除レベルの計算に立ち向かう勇気がなければ、諦めたほうが良い。

で、合格のために何をやればよいのか? 

以下の5つはいずれも甲乙つけがたいものの、内容はかなり重複している。
気に入ったものを2〜3つ選んで手を動かせば、必要な知識・スキルは身につくはず。
統計学が分かる』(技術評論社
統計学がわかる (ファーストブック)

統計学がわかる (ファーストブック)

 
統計学がわかる 【回帰分析・因子分析編】 (ファーストブック)

統計学がわかる 【回帰分析・因子分析編】 (ファーストブック)

 

ファストフード店を例に、統計学の考え方と作業をイチから学べる。
統計学」のはじめの一歩として、これ以上無くおすすめ。
Web版もあるので(こっちが本家)、こちらを参考にしても良い。
 ・ハンバーガー統計学にようこそ!
 ・アイスクリーム統計学にようこそ!

『よくわかる心理統計』(ミネルヴァ書房
よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

 

心理学に憧れた文系大学生は、大学で統計学の授業が必修であることに絶望する。
そのため、心理統計の教科書は「ことばで丁寧に説明する」ことに長けており、
なかでも本書は、ことばによる説明の分かりやすさが群を抜いている。
心理学系に限らず、文系出身で統計を勉強したいすべての大学生・社会人向け。

『本当にわかりやすいすごく大切なことがかいてあるごく初歩の統計の本』(北大路書房
本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本

本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本

 

『よくわかる心理統計』の発売前まで、文系大学生の心の拠り所だった参考書。
簡単な練習問題も充実しており、手を動かしながら必要な知識を体得できる。
本書で「意味は分からなくても、とりあえず手は動く」レベルに持っていければ、
統計学の様々な概念の説明も、より腑に落ちやすくなる。

『完全独習 統計学入門』ダイヤモンド社
完全独習 統計学入門

完全独習 統計学入門

 

経済学のバックグラウンドの著者が初学者・ビジネスマン向けに書いた入門書。
先の2冊のいずれかと併用することで、違った視点からの説明で理解を深められる。
各章末に練習問題がついており、手を動かすパートが充実しているのも特徴。 
本文だけで満足せず、ぜひとも章末の練習問題まで解いてほしい。

 『統計検定2級 公式問題集』(実務教育出版)
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2015〜2017年]

日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2015〜2017年]

確実に合格するためには、過去問演習を忘れずに。
それ以上でもそれ以下でも無い。 

逆に、何をやらなくていいのか?

以下の参考書は、いずれも「統計検定2級対策」として名前を聞くことが多いけれど、
「統計検定2級合格」が目的である場合、何かしらの理由で微妙だと思っている。

なお、本章に限っては「統計検定2級は通過点に過ぎない人」もターゲットに含めている。

『統計検定2級 公式参考書』(東京図書) 
改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎

改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎

統計検定2級の公式参考書。受験を考える人が脊髄反射で買ってしまいがち。
決して悪くは無いのだけれど、「試験範囲を広く浅く紹介する」本になっており、
「腑に落ちる」「手を動かす」という、本記事の方針とは相容れない。
他の方法で勉強した人が、試験範囲の確認をするための本。無くても困らない。

ちなみに、統計検定2級の内容を「全部、深く」本にすると下記になる。

統計学

統計学

 

統計検定の中の人が2級を意識して書いた節のある、公式よりも公式っぽい本。
ただし、大学教養レベルの数学を前提に置いた「ちゃんとした統計学の本」なので、
当然のことながら「統計検定2級合格」を目的にするならハードルが高い。

統計学入門』(東京大学出版会
統計学入門 (基礎統計学?)

統計学入門 (基礎統計学?)

 

いくつかのサイトで「はじめの1冊」として紹介されているが、あまりに難しすぎる*6
初学者向けに本書を紹介しているネット記事は、それだけでエアプだと思って良い。
かくいう私も、本書を半分も理解できている気がしない。

『心理統計学の基礎』(有斐閣
心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

私自身が統計学を勉強するために読み込んだ本。
心理統計学ワークブック―理解の確認と深化のために という、対応の演習本もある。 
「ことばによる説明」「数式による説明」がいずれも丁寧で、読むたびに発見がある。
内容こそ統計検定2級相当だが、より先に進むため腰を据えて読む本であり、
「統計検定2級合格」を目指すために読むべき本ではない。 

『Rによるやさしい統計学』(オーム社
Rによるやさしい統計学

Rによるやさしい統計学

”データサイエンティスト”といえば、RやPythonといったデータ分析言語を使うイメージが強い。
だが、「統計検定2級合格」を目的に据えるならRやPythonを使える必要はない。
紙とペン(もしくはExcel)があればよい*7

 『データ解析のための統計モデリング入門』(岩波書店

通称「みどりぼん」。
キラキラした”データサイエンティスト”のブログでは120%、必読書になっている。
…が、「統計検定2級合格」を目的に掲げている限りは、本書の出番は皆無。
その先を考えている人にとっては、「みどりぼんを理解すること」が一つのベンチマークになりうる*8

結局、どうすればいいの?

『で、合格のために何をやればよいのか?』で挙げた参考本・サイトから、
適当に2〜3つくらい選んで手を動かしながら読めばよい。
統計検定2級に必要な知識は身についてるので、後は過去問で調整すればOK。
 

強いてオススメルートを挙げるならば、

 ・『統計学がわかる』サポートwebサイトを1周する
 ・『よくわかる心理統計』『本当に(略)』『完全独習 統計学入門』から1〜2冊を、
  手を動かしながらゆっくりと読む。
 ・過去問を実際に解いてみる。

の順番になるだろうか。

統計検定は毎年6月と11月に開催されるので、受験予約を忘れずに。
2級はCBT版もあるらしく、SPIっぽくテストセンターでの受験も可能とのこと。

*1:取得を推奨されているものの、業務調整などの受験サポートは一切行われていない

*2:当記事は、2015年ごろにネットの片隅に書いた「文系のための統計検定2級最短ルート」的な記事のアップデート版も兼ねている。

*3:読んで分かるだけなので、「自分も使える」とは限らない。

*4:そもそもデータが無い、データ取得が雑、データが欠けてる、データが汚いetc...

*5:多分。私自身、難しいことは全然分からない。 

*6:本書を理解できれば統計検定1級も余裕で狙える。ただし、出題範囲的に準1級は狙えない。

*7:むしろRよりExcelのほうが良い。

*8:かくいう私は「みどりぼんの理解」が道半ばの状態。